最近、見直されている漫画の1つに藤子不二雄の短編集があります。藤子不二雄と言えば、ドラえもんがすぐに頭に浮かぶと思いますが、今回紹介するのは、藤子不二雄の作品ではなく、藤子F不二雄の単独の作品です。
藤子不二雄が2人組であったことは、ご存知かと思います。小学生のときに2人は出会い漫画を描き始め、おばけのQ太郎の大ヒットを飛ばします。
藤子不二雄Aが「笑うセールスマン」を描くようになってから、方向性の違いから2人は分かれ、藤子F不二雄として漫画を描くようになります。
藤子不二雄Aを陰とするなら、藤子F不二雄は陽、それぞれが個性的な作品を生み出していきます。
ブラックユーモアは、藤子不二雄Aの専売特許のようなイメージがありますが、今回の藤子F不二雄の異色短編集もかなりブラックユーモアが効いています。
3月4日に放送された日本テレビ「成功の遺伝子」では、社会学者の古市憲寿が学生時代に影響を受けた人物として藤子F不二雄を挙げていました。今回は、古市が衝撃を受けたという漫画「ミノタウロスの皿」を紹介します。
ミノタウロスといえば、ギリシア神話に出てくる牛の頭を持つ巨人です。漫画では、人間と牛が逆転した世界が描かれています。人間は、普段当たり前のように牛の肉を食べます。逆転した世界では、牛が人間の立場になるのですから、もうお分かりになるかと思いますが、ミノタウロスの皿にのせられる食べ物は・・・、人間の肉です。
けっこうエグイ話ですが、古市は「人が信じている常識なんてものは、たやすく変わってしまう」と感じ、社会学者になるキッカケとなったと言っていました。
人によって感じ方は、さまざまだと思いますが、古市が人生を切り開くキッカケとなった漫画、是非一度読んでみてください!「劇画・オバQ」の漫画も入ってます。
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「ミノタウロスの皿」は間違いなく名作ですが、タイムマシンで未来から自分がやってくる「自分会議」、人口増加、食糧難によって引き起こったコインロッカーベイビー問題の「間引き」、傲慢きわまる作家の奥さんの心情を描いた「コロリころげた木の根っこ」など、どれもショッキングな漫画でおススメです。(ネタばれになるので詳しくは書きません。)
また「ミノタウロスの皿」 以外の短編集も面白いので、コチラもおススメです。異色短編集は4巻ありますので、大人買いしましょう!
手塚治虫や石森章太郎に影響を受けた感のある漫画もあり、漫画好きにはたまらない短編集です。これらの漫画には、女性の裸がたまに出てきますが、見てはいけないものを見てしまったような、何とも不思議な違和感を感じることができます。この違和感を感じるのも、また一興といえましょう!